秘密結社★有秩序的無秩序/Chaotic†Cosmos

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原発について

@azechiruさんへ

字数制限とか大幅に超えてしまったので、こちらですいません。

参考URLも込みで、2709字ありました(笑

 

まず、前回のメール、『原発賛成』と書きましたが、どちらかというと、『原子力は過渡期エネルギーであるという当初の考えに賛成し、その上で稼働を一定期間続けていくことはやむを得ない』という立場です。

 

よろしくお願いします。

 

 

>>日本は原発なしで電力をまかなっていた時代があった

まず、日本において原発が稼働し始めたのは1966年(1)ですが、70年代~2000年代にかけて、一世帯あたりの電力消費量は二倍以上(2)になっており、この論は有効であると思えません。単純に考えてその三割(3)をなくしてしまえば、それだけ電力が不足することは自明です。

 

家庭内だけで見ても、60年代に比べ、昨今では夏冬の電力消費が飛び抜けて大きい(4)。これは冷暖房に電力が多く使われるようになったということと予想されますが、電力が不足してしまえば、この時期の冷暖房の使用が制限され、結果熱中症等による死亡者数も増加してしまいます。事実、2011年は例年に比べ、死亡者が多いという分析結果があります(5)。

 

 

また、社会的には実際、昨年の計画停電の影響で、中小企業が圧迫されたとの報告もあります(6)。そして、中小企業は国内製造企業売上高の三分の一以上、飲食については六割を占めています(7)。これらが圧迫されてしまえば、日本経済に少なからぬ打撃を与えることも自明でしょう。同様にIT産業にも、少なからぬ不安の種を蒔き、影響をも与えています(8)。

主観的なデータ(同時に質問の仕方に多少の悪意を感じる)ため根拠としては弱いのですが、大阪によって行われたとあるアンケートにおいて、計画停電が自社に悪影響を及ぼすだろうと答えた中小企業は七割、関西における経済に悪影響を与えるだろうと答えたものは八割にのぼりました(9)。

 

 

上記の悪影響の一部は『計画停電』の不透明さによるところも否定できないのは承知ですが、一方で輪番停電ですらこれなのだから、原発を現状で完全停止させてしまえば、家庭にも経済にも影響は決して小さくないとは言えると思います。

 

 

原発には確かに放射性廃棄物の心配はありますが、放出される放射能に対して火力発電によって空気中に放出されるCo2、NoxやSox、水銀等、の環境汚染物質を考えると、どちらが悪影響が大きいのかは一概に断定できないと思います。不法投棄も問題となり取り上げられますが、それはまた別の議論だと思います。火力発電所が基準値を超える汚染物質を出していることだってありますでしょうし。

また、火力発電についても、廃棄物対策方法が確立されるまではロンドンスモッグ等の問題がありました。適切な処理方法の模索段階に現状があると考えれば、昨今の問題も致し方ない部分もあるように思います。

 

供給について、火力発電は化石燃料を必要としますが、これは安定した供給が果たして続けられるか、が疑問です。まず第一に政治状況の不安定な中東に依存するところが大きいため(10)、オイルショックのようなことが再び起これば、やはり大きな打撃を受けてしまいます。また、枯渇の問題もあります。2030年から2050年に供給のピークをもつという予測が多いとも聞いております。

ウラン自体は軽水炉で使えば確かに60年ほどで枯渇するのではないかと言われていますが、海水中のウランの濃縮、及び高速増殖炉核融合等によって半永続的にエネルギー源として用いることができます。

 

 

まとめますと、

(一)増加し続ける電力需要にもかかわらず国内の電力供給の3割を占める原発を停止することは、経済や家庭への圧迫なしでは不可能

(二)火力発電の源となる化石燃料の有限性に対し、原子力では半永久的にエネルギー問題から解放される。

 

私としても『脱原発』というネーミングには嫌悪感を感じるものの、その目指すところは従来のエネルギー観に一致するため、内容そのものには賛同しております。ただし、『即時脱原発』ということになりますと、上記でまとめたとおり、課題がありすぎます。実際に現状の電力を供給し続けるには、事故以前の計画通り、短期的には原発を稼働させ続け、その裏で第4世代原子炉の開発及び再生可能エネルギーのそれを続ける以上のことはできないのではないだろうかと思います。

 

 

脚注

(1)http://www.japc.co.jp/atom/atom_1-3.html

(2)http://www.fepc.or.jp/enterprise/jigyou/japan/sw_index_04/index.html

(3)http://www.fepc.or.jp/enterprise/jigyou/japan/sw_index_02/index.html

(4)http://www.fepc.or.jp/enterprise/jigyou/japan/sw_index_06/index.html

(5)http://hosohashi.blog59.fc2.com/blog-entry-28.html

(6)http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h23/h23/html/k124000.html

(7)http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syokozi/result-2/h2c5k7aj.html

(8)http://it.impressbm.co.jp/e/2012/09/11/4608/page/0/1

(9)http://www.osaka-shinkin.co.jp/pdf/report/20120706_tokubetsu.pdf

(10)http://www.eco-juku.com/energy/kaseki.html

 

 

 

以下蛇足及び私見ですが、福島についてはリスクを承知で原発を受け入れ、その見返りとして国から多大な金銭的支援を受けていた以上、今回の事故が一概に東電及び国のせいではないと考えております。

下記ブログは偶然見つけたものです。一個人の感想ですし、文も論理性に欠けるものであり、また導かれた結論が私とは異なりますが、前半は私の考えと同一であるため、ぜひご一読いただけたらなと思います。

なお、私自身も親戚が福島に住んでいたこと、祖母が仙台に住んでいたことを追記します。

 

参考

http://blog.2os.net/2011/05/10/%E8%AA%B0%E3%82%82%E8%A8%80%E3%82%8F%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%A7%E5%8B%87%E6%B0%97%E3%82%92%E5%87%BA%E3%81%97%E3%81%A6%E4%BF%BA%E3%81%8C%E8%A8%80%E3%81%8A%E3%81%86%E3%80%8C%E7%A6%8F%E5%B3%B6/